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寺尾卓也

あいつは何やってるんだ問題


僕たちはまだまだ組織、というより小さなチームです。

圃場が散らばっているので全員で仕事をすることはほぼなく、

仕事によって2人チームを組むことが多いです。

それでも社員8名、パート1名の合計9名でやっているとそれなりにいろいろ出てきます。

ましてや会社全体、農業、飲食、総務も含めた社員20名ともなると、もっといろいろ出てきます。

その中のひとつが、

「あいつは何やってるんだ問題」です。

<例1>

離れた圃場Aと圃場Bで別々の作業をしている2チームが、

それぞれの仕事が終わり次第、圃場Cで合流して別の作業を行う予定になっている。

Aチームが先に仕事を終え、圃場Cにて次の仕事を始める。

しかし、1時間経過しても、Bチームが来ない。

たまりかねて電話し様子を聞くと、思った以上に作業がはかどらず、あと1時間かかるという。

Bチームの作業ボリュームも、圃場の状態も把握しているつもりのAチームメンバーは、

「そんなにかかるはずがない」と思う。

圃場Cでの作業は、4人でないと厳しい内容。

なにかすっきりしない気持ちのまま、Aチームは作業を続けた。

1人がつぶやく。

「あいつは何をやってるんだ…!」

<例2>

毎朝店舗からの受注をリスト化しているTさんは、イライラしている。

収獲が始まるのは朝の4時。

そこから調整、ピッキングを終わらせ、10時には店舗配送のトラックが出発できるようにしなければならない。

まさに、時間との闘い。

なのに、毎回どこかしらの店舗の発注が抜けている。

電話しても店長は出ない時間だし、適当に入力して過不足が起きるのも嫌だと感じている。

仕方なく前回分のリストを複製しながら思う。

「あいつは何をやっているんだ…!」

チームが大きくなり、組織らしくなり、

専門性が高まり、分業が進んでいくと、

おのずと地理的、情報的な乖離が進んできます。

自分以外のメンバーの行動や、

彼らの置かれている状況がリアルには見えないから、

自分の期待や予測を下回る結果が出てきたときには、大いにイラつきます。

このイラつき、腹立たしさというのは、

自分の期待値と現実のギャップで起きるものです。

そしてこのギャップは、情報の非対称性が生み出しています。

この問題を解決しようと思ったときに、

2通りのやり方があると思います。

1つは、情報の非対称性を解消すること。情報共有を徹底するために、ルールをつくり、システムに投資するやり方です。これは、場合によっては合理的かもしれませんが、僕は実際は不可能だと思います。特に農業の場合、圃場の状態は1日ごとに変わるものだし、実際に見て触ってみないと完全には伝わらないことが多いからです。これを全員が理解しようとすると、それだけで膨大な時間が必要になってしまう気がします。

2つ目のやりかたは、「期待しない」というやり方です。そもそも情報の非対称性が解消できないことを前提にして、見えないところの事はわからないと開き直ります。

そして「自分が今できる事」だけに集中する。

むしろ、まわりの人の期待値を超えることを楽しむ。

これのほうが圧倒的に楽だし、無駄なイライラをしないで済む。

ただし、もし仮に見えないところで手抜きをしている人がいたり、作業の仕方が悪かったりした場合、それに対するフィードバックがされないという事も同時に起こり得ます。

でも、それを考えている限り、1つ目のパターンに戻ってしまう。

それぞれが、個々人の感性と主体性で判断し、行動する。

そして学びたいときにその情報にアクセスできる、

メンバー同士で共有できる、

そういう組織(と言っていいのかわかりませんが)を創っていくために、

どうすれば良いのか。

それを今考えています。


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