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農業現場での意思決定


仕事中、スタッフからの電話での一幕。

<スタッフ>「 今ナスを収穫しているのですが、状態的にちょっと出せないと思うのですが…どうしましょう?」

<僕>「出せない状態って、どういう状態?…」

<スタッフ>「ちょっと固いというか…あまり良くないと思うんですよね…どうなんですかね…」

<僕>「うん…ちょっと見てみないとわからない…」

2014年6月に佐倉市で新規就農してから、2年目の10月にはじめてスタッフに入ってもらいました。

それまでは僕と嫁はんだけでやっていましたが、

栽培規模が大きくなって「もう無理!」となって採用に踏み切りました。

それくらいのとき、よく耳にしたのは「規模拡大すれば必ず品質が落ちる」という話でした。

ただでさえ、良いものをつくるのに四苦八苦しているのに、

それだけは絶対に避けたい。

むしろ規模拡大と共に品質が上がっていかなくてはダメだ!

と熱く思ったし、今でもそれは変わりません。

それにしてもなぜ、規模拡大すると品質が落ちるんだろう?

いつも現場でやっていて思うんですが、

農業の仕事は現場の変化を観察して的確に判断すること、これが仕事のほとんどだからだと思います。

自然という絶対的に理不尽な存在がまず前提にいるので、

意思決定の前提となる情報が、常に現場の最前線で発生する。

組織が大きくなると言う事は、普通は分業化、専門家を進めることとイコールですが、

役割分担を進めれば進めるほど、

階層化が進んで意思決定者が現場からどんどん遠ざかっていきます。

僕たちのチームでもすでに起きている事ですが、

「農場長」という肩書の僕が、全圃場の詳細な状況をリアルタイムで把握していることはちょっともうしんどい。

言葉で伝えても、

写真で伝えても、

動画にしてみても、

実際に現場に行って、

野菜なら葉色、ツヤ感、張り具合、

土なら質感、水加減、

機械なら音、におい、振動、

それらを五感で感じ取らないと、

何が原因で、どんな判断をすればよいかはわかるはずもないんです。

その意思決定の基準を統一することも大事かもしれませんが、

もっと大切なのは、

自分でその基準を見出せることと、

それが全体として大きくぶれていないこと、

組織としてそれが常に高まる状態にしておくこと、

なのかもしれません。

そのために、必ず知らなくてはいけない情報もあります。

農業の場合それは、「使う人」「食べる人」の感覚だと思います。

普段は見えにくいところ、をどうやって自分の感覚にまで落とし込んでいくか。

そこにチャレンジしてこうと思います。


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